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迅速かつ柔軟な労働問題の解決

労働審判について

労働審判の件数は、平成18年が877件であったところ、平成26年には3416件にまでアップしています。当事務所の所在する埼玉においても、例外ではありません。当事務所では、埼玉だけでなく東京管轄の事件も多く承っております。

労働審判制度の特徴と概要

労働審判制度とは

労働審判制度とは、個別労働関係事件について、裁判官1名と労働関係について専門的知識を有する労使の専門家2名で構成する委員会が、3日以内の期日で審理し、調停による解決を試み、調停が成立しない場合には、「当事者間の権利関係を踏まえつつ事案の実状に適した解決をするために必要な審判」を行うという制度です(労働審判法1条)。

労働審判の迅速性

労働審判制度は、3日以内の期日で結論を出すことを原則とする制度です(法15条2項)。そして、第1回期日は、申立後40日以内に指定しなければならないとされています(規則13条)。

実務的にも、第2回目は2週間から3週間後、3回目は概ね2週間後程度の間隔でなされることが多く、2回目の期日までに終了するケースが多くみられます。

争点や証拠の整理も、訴訟などに比べれば格段に早く行われます。総じて、労働審判は極めて迅速な解決が可能な手続といえます。

柔軟な解決

訴訟であれば、請求が認められるか認められないか、いわば白か黒かという判断しかありません。

他方、労働審判では労働審判委員会はいつでも調停を試みます。そして、調停による解決ができないときは、「事案の実情に即した解決をするために必要な審判」(法1条)がなされることとなります。

その「審判」は、権利義務の存否だけではなく、これまでの手続きの経過を十分に踏まえてなされます。

それ故に、労働審判手続において法的に正確で有意な主張をしておけば、それが反映され、柔軟な解決が図られるのです。

訴訟のように、請求が認められるか、認められないかの二択ではないのです。

労働審判の流れ

労働審判の流れを図示すると以下のようになります

申立(法5条)管轄地裁への申立書提出

管轄のある地方裁判所に対し、必要な事項を記載した申立書を提出する。口頭での申立ては認められません。申立書は、正本1通と相手方の数に3を加えた数の写しを提出する(規則9条4項)。

期日指定・呼出し労働審判官が関係人を呼び出す(法14条)

相手方が呼び出しを受けたのに期日に出頭しないときでも、労働審判の手続は進行します。

答弁書等の提出第1回期日の7日~10日ぐらい前

裁判所が提出期限を決めます。それを厳守しなければならないのです(規則16条項)。

第1回期日申立から40日以内

労働審判手続きでは、第1回期日が圧倒的に重要です。第1回期日に集中して審理っされますので、まさに第1回期日が勝負の別れ目です。勝負は大体第1回期日で決まってしまいます。したがって、有効かつ適切な法的主張を十分準備して臨まねばなりません。 

第2回期日第1回期日終了後、2~3週間後

第3回期日第2回期日終了後、約2週間後

第3回期日まで行くことはそれほど多くありません。

労働審判

異議あり⇒審判失効・訴訟移行

異議なし⇒効力確定

労働審判手続きは、①調停の成立(規則22条)、②審判の言渡し(法20条)、③法24条1項による終了、④取下、のいずれかにより終了します。言い渡された審判に対し、異議がなければ、その審判の効力は確定します。異議がある場合には、2週間以内に裁判所に異議の申立てを行うことができます(法21条1項)。

異議の申立てがあると、審判はその効力を失い、申立ての時に遡って、事件が係属している地方裁判所に訴えの提起がみなされます(法22条1項)。したがって、改めて訴状を提出する必要はないのですが、実務的には訴状にかわる準備書面を求められます。ここでの準備書面は、事実上書面にかわるものですから、相手の反論や主張を踏まえ、十分に準備したものにすることが必要です。

各期日とも、労働審判委員会はいつでも調停案が出すことができます。調停が成立すれば、手続は終了します。1回目の期日でも調停案を出してくる可能性がありますので、法的に主張できることをしっかりと整理して、この調停案に乗っても大丈夫かということを慎重に判断しなければなりません。特に、3回目の期日に調停案が出された場合、もはやその場で返事をしなければならないわけですから、和解(調停)の構想も同時進行で準備しなければならないのです。

労働審判の例

解雇・雇止めされた場合

解雇されたような場合には、労働審判がかなり有効な手段といえます。労働審判では、職場復帰だけでなく、金銭的解決についても柔軟に判断されるうえ、3回以内の期日という極めて迅速な解決が見込まれるからです。

弁護士としては、ご相談者から、「そもそも職場復帰を目指すのか」をお聞きします。もししたいのであれば、その旨を全力で主張するとともに、職場復帰の環境についても交渉します。復帰を目指さないのであれば、金銭的解決に向けて全力を尽くす方針となります。

賃金・残業代・退職金の未払いがある場合

まず、未払い残業代と賃金請求の時効は、2年、退職金請求の時効は5年です。新しい会社に就職した場合であっても、請求は可能ですので、出来るだけ早くご相談することをお勧めいたします。

なお、「働いたことの証拠がない」という方が大変多いのですが、例えば職場の同僚の証言等も証拠になります。また、タイムカードが用意できなくても、勤務時間を書き込んだメモ帳の記載等も、タイムカード程の証明力はないにしても、立派な証拠です。思わぬものが証拠になることもありますので、ご相談の際にはどのような資料であってもご提示ください。

配転・出向された場合

配転や出向が有効とされるためには、

①配転・出向命令権の根拠となる労働契約や就業規則等の定めがあること

②権利濫用に該当しないこと

という要件を満たす必要があります。現実に配転・出向を命ぜられた場合、その有効性を争う方法としては、

①配転・出向を拒否した上で有効性を争う方法

②とりあえず応じたうえで、有効性を争う方法

があります。①については、懲戒の対象にもなりかねず、極めてハイリスクです。しかし、現実にはどうしても配転等ができない理由(健康や介護等)がある方も大勢います。そのような場合には、迅速かつ柔軟な手続きである労働審判が向いているといえます。労働審判では、単に配転が有効か無効かという判断だけではなく、配転の期間について配慮するとか、介護費用の会社一部負担等の柔軟な解決が見込まれます。

弁護士としては、ご相談者の意向に配慮しつつ、ベストな解決方法を模索し、ご提示致します。

懲戒処分を受けた場合

懲戒処分の種類としては、①けん責・戒告、②減給、③出勤停止、④諭旨解雇、懲戒解雇、等があります。

懲戒処分が有効とされるためには、

①懲戒事由及び懲戒の種類が就業規則に規定され、周知されていること

②就業規則中の懲戒規定の内容が合理的であること

③懲戒規定に該当する懲戒事由があること

等の要件を満たす必要があります。

例えば、身に覚えのない痴漢等の容疑で懲戒をされたりするケースもあります。また、確かに懲戒事由となるような行為をしたが、あまりにも処分が重すぎるといったような場合には、しっかりと主張をする必要があります。

労働条件を不利益に変更された場合

労働者の賃金をカットするような労働条件の不利益変更をする場合には、就業規則を変更する等の手続を踏む必要があります。もし就業規則が変更されているような場合には、複雑な事案となりますので、労働審判には向かないケースがあります。

他方で、就業規則の変更もなく、労働者の同意もなく賃金カット等の労働条件の不利益変更がなされた場合には、労働審判で判断することが十分に可能に事案といえます。

退職を強要された場合

中高年層や結婚後の女性に対し、退職を強要するケースが後を絶ちません。それは、労働法上、人を解雇することは難しいからです。会社としてはあらゆる説得法を尽くして従業員を自分の意思でやめさせることに精力を傾けます。しかし、度を越えた説得はただの「強要」であり、許されません。

労働審判では、退職強要の禁止を求める審判を下すことができます。また、既に退職を承諾してしまった方であっても、退職させられた経緯から、退職の意思表示取消しが可能な場合もあります

しかし、退職の承諾をする前の方が争いやすいことは間違いないので、もし退職を迫られているような場合であれば、すぐにご相談いただきたいと思います。

労働審判の注意点

労働審判は会社と労働者どっちに有利?

当事務所は会社側の労働審判も行っています。その経験からすると、会社にとっては労働審判は極めて苦しいものです。何故なら、労働者は十分準備して審判に臨めますが、会社はいきなり審判を申し立てられて、短い期間で答弁書等を準備しなければならず、十分な準備ができないからです。

大企業であれば、すぐに顧問弁護士が来て関係者に事情を聴取し、証拠を集め…等の作業に入れます。

しかし、中小企業の場合、労働審判自体新しい制度ですから、そもそも初めての経験であることも多く、準備もどうしたらいいかよく分からないという場合が多くみられます。

このように、労働審判は労働者に極めて有利で、会社泣かせの制度と言えるでしょう。

労働審判は簡単か?

労働審判は、迅速かつ柔軟で、誰でも気軽に利用できる簡単な制度か?といわれれば、答えは「NO」です。

労働審判は、第1回期日でほとんど勝負が決まります。

この第1回期日で十分な主張ができないと、本当は主張出来ることがあるのに、あれよあれよというままに会社側の主張(会社側には、ほとんどの場合弁護士が担当します)に飲み込まれ、せっかくの権利を喪失してしまうことになってしまいます。

これが訴訟であれば、第1回期日で多少準備不足でも、何とかなることもあるのですが、労働審判ではそうはいきません。

実は、弁護士であっても、主張を法的に分析し、証拠を集めて事実と結びつけ、漏れなく第1回期日までに主張を整理することは簡単ではなく、大変な労力と時間を要するものなのです。

そのようなことから、労働審判では概ね85%程度の申立てで弁護士が代理人となっています。

冷やかしのような事例には弁護士は付かないでしょうから、実際にはほとんどの場合に弁護士が付いているのが現状です。

そもそも、期日が開かれるのは全て平日ですから、働いている方にとっては、会社を休む等の手段を講じなければならず、その意味では訴訟と同じく、働いている方にとっては利用勝手が悪いといえます。

書類作成では一切手を抜けない

第1回期日が勝負ということは既に述べましたが、そうである以上、申立書は権利関係を整理し、出し惜しみなく主張を述べなければなりません。

答弁書についても、訴訟の場合のように「認否反論は、追って主張」等ということは許されず、主張を書き尽くす必要があります。何故なら、補充書面の提出は原則認められないからです。

また、証拠についても、短期集中の期間の中であれもこれもと集めて書面化することは困難であり、ベストエビデンスを選別し、出し尽くす必要があります

このようなことから、訴訟よりもさらに整理した書面を作成する必要があるわけです。

複数人一括申立ては可能か?

労働者の方から、「複数人で一括して労働審判を申し立てることは可能か」という質問をよくいただきます。

結論としては、原則として出来ません。

労働審判をリードしてきた東京地裁では、1労働者1申立ての順守を訴えており、その他の裁判所でも同じ運用がなされております。

例外的手段としては、とりあえず労働者ごとに申し立てて、そのうえで併合を促すことが考えられます。ただ、本当に複数人でまとめた方が良いかは、判断が難しいところでもあります。書面も多くなり、当事者で意見が食い違ってきたりすると、かえって解決を遅らせることも大いにあります。

訴訟もにらんで複数人で(場合によっては組合も関与して)行った方が良い場合もあることは事実です。従いまして、当事務所では、何が得か、どうすれば相談者の意に最大限応えられるのかについて慎重に判断致します。

同情を勝ちとれば勝てるのか

応えは「NO」です。

労働審判について、「同情を勝ちとれば有利になる」等と説明するサイト等があります。

確かに、同情を得られるに越したことはありません。しかし、労働審判はあくまでも「審判」という厳格な法的判断の手続です。また、審判員たちは日々何件と様々な事例を見ています。同情作戦など、もうウンザリという人もたくさんいます。必ず一人は入る職業裁判官などは、主張と証拠以外興味がないといっても過言ではありません。それが、裁判官の義務だから当然なのです。

重要なのは、証拠に裏付けられた法的主張をすることです。証拠説明書もしっかりまとめる必要があります(特に、裁判官は重視します)。裏付けのある主張でなければ、同情もなにも、その主張をもとに審判をすることはできないのです。

事情をちゃんと説明すれば(そしてあわよくば同情を買えば)勝てる!というのは、非常に危険な誤解ですので、注意すべきです。そうして、不利な審判が下されてしまうと、原則として同じ審判を申し立てることは二度と出来ません。

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